「ソーテルヌの貴腐ワインって色々あるみたいだけど、どれを選べば良いの?」
この記事にたどり着く方は、多かれ少なかれそのような思いがあるのではないでしょうか。
貴腐ワインとは、貴腐菌(ボトリティス・シネレア)というカビの一種を、栽培中のブドウにあえて発生させることにより、ブドウの水分は蒸発することで干しブドウ化し、そのようにして糖度の高くなったブドウを使って造られる極上甘口ワインです。
※貴腐ワインのくわしい知識はコチラ
そんな世界3大貴腐ワイン産地として名高いソーテルヌには数多くの銘柄が存在し、的確に選択することは難易度が高いと言えるでしょう。
しかしそのような悩みは、この記事を読むことで少しは和らぐと確信しています。
なぜなら、2014年に日本ソムリエ協会認定ソムリエの資格を取得した私は、自身が実際飲んで美味しいと感じるワインもさることながら、一般消費者の皆様が実際口にして、そして満足しているワインはどれだろうという興味が湧き、インターネット上にある信憑性の高い口コミだけをを調べ尽くし、特に満足度の高いワインのみをピックアップし、特徴・当たり年・飲み頃・口コミ内容などを詳しく解説しているからです。
つまり、多くの方が美味しいと認めるワインは外す確率も少ないというわけです。
それでは参りましょう。
※今回紹介するワインは貴腐ワイン3種と、辛口白ワイン2種です。
貴腐ワインで有名なソーテルヌですが、辛口白ワインの評判も高かったため、興味深いと感じ紹介させていただきます。
厳密には法律上ソーテルヌを名乗れるのは貴腐ワインのみであり、白ワインについては広域ボルドーを名乗りますが、今回はソーテルヌのおすすめとして紹介させていただきます。
ソーテルヌ おすすめワイン5銘柄
星の数ほど存在するワインは、産地やブドウ品種に生産者、あるいは収穫年や熟成度合い、そして個人個人の受け止め方によっても味わいへの評価は変化し、一つとして同じものが無い事が難しさであり魅力でもあります。
ここで紹介するワインはあくまで一般的に満足度が高いという事で、それら以外にも素晴らしいワインは無数に存在します。
個々の受け止め方でも評価は変わるわけですから、これが素晴らしいワインと決めてしまうのはナンセンスだと思いますし、いろんなワインを探究される事は素晴らしいと思います。
そのような事を踏まえて、この記事があなたの何かしらのヒントになり、ワイン選びのお役に立てれば幸いに思います。
さて、私はソーテルヌのワインを生み、日本で購入可能な主要生産者をピックアップし、その中で多くの日本の消費者の方々に実際飲まれ、そして口コミ評価の高いワインはどれだろうという客観的視点から調べてみました。
その結果、特に高評価を獲得していると感じたワインは以下の5銘柄。
※尚、ソーテルヌ地区以外の満足度の高いワインについてもおすすめワイン一覧で解説しておりますから、参考になれば幸いです。
1.シャトー ディケム(極甘口)
甘美で官能的
とろけるような魅惑的味わい
《価格》【およそ38000~130000円】
※ヴィンテージによって価格は変動します。
※5万前後が多い印象です。
《ブドウ品種》
・セミヨン
・ソーヴィニョンブラン
世界3大貴腐ワインのひとつにフランスのソーテルヌが挙げられますが、そのソーテルヌの貴腐ワインの格付けにおいて、唯一特級(プルミエ・クリュ・シュペリウール)に君臨し続けるワイン。
その品質の素晴らしさの要因には、ブドウの育成環境(テロワール)の良さもありますが、造り手の妥協を許さない厳しい姿勢にもあります。
完全に熟した最高の状態のブドウを収穫するためには、多くの人手と選別する力量も必要です。
ディケムでは、150人もの摘み手によってブドウを選別しながら収穫し、樽熟成の段階になってもディケムにはふさわしくないと判断された場合は、そのワインを使用しません。
そのような事もあり、生産量は少ないワインと言えますが、品質に対する信頼は厚く、多くのワインラバー達を魅了し続けているのです。
価格もなかなかですが、贈答品や大切な記念日などには、このような品格に溢れたワインがふさわしいでしょう。
※このワインの《味わい》《当たり年》《口コミ》など、さらにくわしい解説はコチラ
2.イグレック ド シャトー ディケム(辛口白)
甘美で複雑な風味
ディケムを彷彿させる品格
《価格》【およそ2万~10万円】
2万~4万が多い印象です。
※ヴィンテージによって価格は変動します。
《ブドウ品種》
・ソーヴィニョンブラン主体
・セミヨン少し
上記のディケムが手掛ける辛口白ワインです。
以前ディケムでは、貴腐化が浅いブドウなどを使って例外的に辛口白ワインを造る事があり、生産量もヴィンテージごとに異なり、造らない年もありました。
しかし2004年以降は栽培管理の体制を整え、白ワイン用にブドウを管理するようになり、貴腐化が始まった絶妙なタイミングでブドウを収穫できる仕組みにする事で、毎年生産が可能になったというわけです。
完熟し貴腐化が始まった糖度の高いブドウを使用する事で、果実の凝縮された風味を感じられ、アルコール発酵はブドウの糖分が炭酸とアルコールに変化する発酵のため、糖度の高いブドウを使用するイグレックは、必然的にアルコール度数の高め(約14%。通常は12%~13%程度)の力強さも感じさせます。
辛口白ワインのカテゴリーのイグレックは、貴腐化の始まった糖度の高いブドウを使用していることで、ディケムのような甘やかな風味は感じられますが、酸味もしっかり持っており、全体の印象としては甘やかな風味を持ったドライなワインといった印象。
アーモンドやトーストのような樽香もしっかりと感じられ、その甘やかさも加わり、リッチでゴージャスな雰囲気は品格を感じさせます。
※このワインの《味わい》《当たり年》《口コミ》など、さらにくわしい解説はコチラ
3.シャトー リューセック(極甘口)
ラフィットが手掛ける
とろけるような官能的甘口
《価格》【およそ8000~22000円】
※ヴィンテージによって価格は変動します。
《ブドウ品種》
・セミヨン主体
・ソーヴィニョンブラン微量
・ミュスカデル微量
※ヴィンテージによって使用比率は変動します。
シャトーリュ―セックは歴史ある生産者で、所有者は度々変わりながらも安定して品質の高い貴腐ワインを生産し続けてきました。
1984年には5大シャトー筆頭であるシャトー・ラフィット・ロートシルトを擁する、ドメーヌ・バロン・ド・ロスチャイルドが所有者になったことで、さらに厳しく生産・品質管理が行われるようになりました。
その結果、納得のいく品質のワインが得られなかった年には、シャトーリュ―セックの名のワインは製造しないという事も起こるほどの徹底ぶりで信頼も厚いと言えます。
リュ―セックの品質の特徴は深みのある花の香りがある事で、蜜のような濃密さもあり奥深さが感じられます。
価格はディケムの4分の1程度ですが、十分に高貴な貴腐ワインの要素を持っています。
このようなワインをアイテムのひとつに持っておいても、マリアージュの幅が広がりますし、贈り物や記念日の場面にも活躍してくれます。
※このワインの《味わい》《当たり年》《口コミ》など、さらにくわしい解説はコチラ
4.ムートン カデ レゼルヴ ソーテルヌ(極甘口)
魅惑的な甘味とエレガンス
《価格》【およそ3500~5400円】
《ブドウ品種》
・セミヨン主体
・ソーヴィニヨンブラン少し
・ミュスカデル微量
カデ=末っ子
1930年。
現在メドック格付け第1級のシャトー・ムートン・ロートシルトはブドウの出来が良くない事から生産しない事を決定しました。
で、そのブドウはどうするの?
そこでそのブドウを使ってカジュアルなワインを造ろうと判断したのが、フィリップ・ド・ロスチャイルド男爵。
彼は一族の末っ子でこれ以外にも様々な革新をムートンにもたらした人物です。
そんな事をきっかけに生産が始まったワインで、よりカジュアルにワインを楽しんでもらうために造られており、現在は信頼のできる契約農家100%のブドウを仕入れ、ムートンの厳しい管理の下で醸造されるようになっています。
今回紹介するワインは、そんなカデシリーズの中でも地域と品種個性が感じられるレゼルヴシリーズで、通常のカデよりもクオリティーが高く、ちょっとだけ贅沢な気分も味わえる丁度良いワインとも言えます。
そんなレゼルヴシリーズもいくつかありますが、今回は貴腐ワインの紹介です。
とてもオシャレなボトルデザインで、魅惑的な味わいを持った品質はあなたの新しいワインの世界の扉を開けてくれるかもしれません。
※このワインの《味わい》《当たり年》《口コミ》など、さらにくわしい解説はコチラ
5.エール ド リューセック(辛口白)
華やかな香りとピュアな果実味
エレガントな上質ワイン
《価格》【およそ3000~4000円】
3500くらいが多いですが生産量も少いため、扱うお店も少なくヴィンテージの選択肢も少ないです。
《ブドウ品種》
・セミヨン
・ソーヴィニョンブラン
上記のシャトー・リューセックが手掛ける辛口白ワインです。
エ―ル・ド・リューセックの特徴は【2つ】。
1、トロピカルで華やかな香り
白桃・マンゴー・パイナップルなどの南国フルーツを思わせるトロピカルな香りが特徴的で、ボリューム感があります。
また、柑橘系フルーツや青りんごなどのフレッシュな果実香もあるため爽やかさも感じられます。
2、洗練されたエレガントな品質
ボリューム感のある香りから想像される通り果実味も豊かですが、洗練された品質で飲み疲れすることなく、美しい酸味が味わいを引き締めバランス感覚にも優れているため、力強さよりはむしろエレガント(上品)な印象を感じます。
感動的な口コミ評価こそないものの、やさしい風味に好感を持つ人も多く、お手頃感も加わり比較的気軽に楽しめるワインですから、選択肢に持っておいても良いでしょう。
※このワインの《味わい》《当たり年》《口コミ》など、さらにくわしい解説はコチラ
ソーテルヌ おすすめワインのまとめ
いかがでしたでしょうか。
貴腐ワインはとても甘美であり魅惑的な味わいです。
フォアグラやブルーチーズなどとの相性も素晴らしく、とてもリッチな気分が味わえますし、一味違ったアプローチで料理を楽しみたい時や、おもてなしをしたい時などに、このような貴腐ワインは選択肢の幅を広げてくれますから、知っておく価値があると言えます。
あなたのワイン選びのお役に立てれば幸いです。
※尚、もっとたくさんの銘柄を知りたい方はおすすめワイン一覧でも確認できます。
では、今回紹介したワインのおさらいです。
1.シャトー ディケム(極甘口)
3.8~13万
ソーテルヌで唯一特級に君臨し続けるワイン。
甘美で官能的、とろけるような魅惑的味わいで、世界を代表する甘口ワイン。
2.イグレック ド シャトー ディケム(辛口白)
2~10万
ディケムが手掛ける辛口白ワイン。
甘美で複雑な風味、ディケムを彷彿させる品格。
3.シャトー リューセック(極甘口)
8000~2.2万
メドック5大シャトー筆頭のラフィットが所有するシャトー。
価格はディケムの4分の1程度ですが、十分に高貴な貴腐ワインの要素を持つ。
4.ムートン カデ レゼルヴ ソーテルヌ(極甘口)
3500~5400
良質のブドウから造られるワインは。ソーテルヌらしい風味とコクを持ったリッチな味わいで、価格も含めて消費者に寄り添う魅力的なワイン。
5.エール ド リューセック(辛口白)
3000~4000
南国フルーツを思わせるトロピカルな香りが特徴的で、洗練された品質で飲み疲れすることなく、力強さよりはむしろエレガント(上品)な印象を感じる。
以上です。
それでは参考までにソーテルヌ地区のヴィンテージ・チャートも載せておきます。
ソーテルヌの当たり年
ワインの味は畑で決まると言われるように、ブドウの出来栄えでワインの品質は変わってきます。
そんなブドウの出来を左右するのが、日照時間・日較差(昼夜の温度差)・降雨量など様々な気候条件だったりします。
そしてその結果その年のブドウがどのような出来であったのかを示す指標がヴィンテージチャートとして存在するわけです。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
1959年 5
1960年 1
1961年 3
1962年 4
1963年 0
1964年 0
1965年 0
1966年 3
1967年 5
1968年 0
1969年 3
1970年 3
1971年 5
1972年 1
1973年 2
1974年 1
1975年 5
1976年 4
1977年 0
1978年 2
1979年 3
1980年 2
1981年 2
1982年 3
1983年 5
1984年 2
1985年 3
1986年 4
1987年 1
1988年 5
1989年 5
1990年 5
1991年 1
1992年 1
1993年 0
1994年 2
1995年 4
1996年 4
1997年 4
1998年 3
1999年 3
2000年 2
2001年 5
2002年 3
2003年 4
2004年 3
2005年 5
2006年 3
2007年 4
2008年 3
2009年 5
2010年 3
2011年 5
2012年 1
2013年 4
2014年 3
2015年 4
以上です。
長文のご拝読ありがとうございました。
この記事が何かしらの参考になり、ワイン選びのお役に立てれば幸いです。
あなたにとって善きワインとの出会いが多くなる事をお祈りしております。
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